アメリカへの企業進出は今がチャンス

Featured Japan | Prager Metis | Sep 27, 2024

日本全国がドジャ-ス大谷選手の活躍に夢中である。海の向こう側アメリカで、世界トップレベルでプレイその姿は、同じ日本人としてとても誇らしく映る。同じように、今もアメリカで奮闘している、日の丸を背負った日本企業戦士たちも注視に値する。アメリカという広大な市場において、「ニッポン」は対米投資国として、トップ座を守り続けているからだ。日本の人口減少と高齢化、新たな市場の発掘、国際情勢パラダイムシフトのなか、日本企業の求める安定的に成長できる市場は、やはり長い信頼関係にある、アメリカである。今回は、日本企業の対アメリカ進出の現状、今がそのチャンスであることについて、概説する。

1. アメリカ向けの直接投資国は日本が4年連続トップ

 

これは米国Bureau of Economic Analysisによる国別のアメリカ対内直接投資(注)発表数値をグラフ化したものである。日本を含む外国からの直接投資残高は、約5兆3,941億ドル(2023年)に達する。アメリカは、世界から最多の投資額を集めている。そのなかで日本企業からの直接投資額が、7,833億ドル(2023年)と最高額である。2019年から、日本は英国やカナダを抜いて、4年続けて世界最大の対米投資国になっている。アメリカにとっては、日本が最大の投資国となる。日本企業から投資される金額のみならず、雇用創出効果、税増収効果、米国経済社会に与えるインパクトは、大きいと認めざるを得ない。

(注)直接投資 (Direct Investment)とは、企業が直接、長期的な経営参加や技術提携を目的として、海外投資するものとして定義される。一方、経営には参加せず、株式配分や売買のみを目的とした海外への間接投資(Indirect Investment)とは区別される。

2. アメリカ市場の魅力

アメリカ市場の魅力とは、その市場の大きさ、移民による成長、及び技術革新と言われてる。米国の国民総生産(GNP)は日本の約5倍規模の約25 兆米ドル、総人口は日本の約3倍規模の約3.5億人である。アメリカ人口のうち約13%は、外国生まれの移民である。その移民社会の中から、世界を代表するIT起業家も誕生している。イーロンマスク氏(テスラ&スペースX社長、南アフリカ生まれ)、ジェフべゾス氏(アマゾン創業者、キューバ移民の子)、スティーブジョブス氏(アップル創業者、シリア移民の子)、ジェンスンファン氏(エヌビディア創業者、台湾生まれ)などである。アメリカには、そうした一世代に巨大IT企業を築く土俵がある。日本企業もそうした土俵で学び成長をしたいと願って投資している。

日米の安定した友好な政治関係もアメリカ市場の大きな魅力と言える。今回、大統領選挙でハリス民主党から副大統領として立候補しているティム・ワルツ知事(ミネソタ州)は、親日家としても知られている。そのワルツ氏は「私が州知事になり初訪問した国は日本だ。日本は最良パートナーだ。だから日本企業を歓迎する。」とまで明言している。

最近の話としては、パナソニックホールディングスが、中西部カンザス州に約40億ドルの巨額を投じて、EV用のバッテリー新工場を建設している。既に着工、2024年度中の生産開始を目指している。僅か人口6,000人余りの小都市(デソト)に4,000人の新規雇用を生むのだから「単独としては州史上最大の案件」とローラ・ケリー知事は大絶賛している。ほか富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズも、アリゾナ州で半導体事業関連の拡張投資(8,800万ドル)を行うと発表したほか、住友化学はテキサス州に半導体用プロセスケミカルの新工場を建設すると明らかにしている。

共通しているのは、各州知事レベルにおいて、日本企業への熱い誘致合戦が繰り広げられているという事実だ。投資誘致のための補助金、託児施設や道路の建設、電力供給、人材育成のた

めの教育カリキュラムの設定など、設けられている。従って、各州レベルでどのようなインセンティブ措置が存在するのか確認も大切である。

マスコミ上では、日本製鉄によるUSスチール買収を巡り、民主党及び共和党の大統領候補からも、異議を唱える声があると報道されている。しかしこれらは11月大統領選挙前という選挙対策上の理由からである。アメリカ側の専門家からも、アメリカ同盟国である日本の企業からの買収が、アメリカ国家安全保障上の懸念につながるという話は明らかにおかしい、と指摘する声があがっている。

3. アメリカ市場へ進出の注意点

A) 法人設立州の選定

アメリカは多様で広大な市場である。まずはアメリカ現地でのプレゼンスを法人として起業するのが第一歩となる。全米50州のなかで、どの州で設立登記をするかが賢明なのかを検討する。日本では国(法務省)が法人登記を管理するが、アメリカでは州政府ごとにSecretary of State(法務局)が法人登記を管理する。例えば、アメリカでの法人登記をまずデラウェア州に申請したあと、実際のオフィスや倉庫が所在する州(例:カリフォルニア州) にて、同じ会社を法人登記するケースとする。デラウェア州を「本社」カリフォルニア州を「支店」とするイメージである。こうしたパターンは一般的に日本企業で多く見かける。ただしデラウェア州にビジネス活動がない場合、わざわざデラウェア州に本社登記をしなくても良く、ビジネスが実在する州のみ、法人登記してよいという見方もある。

また各州ごとに独自の法律規制上の特徴がある。アメリカでは連邦法人税(現在は一律21%)のほか、ほとんど各州は何かしら形の法人税を課している。例えばワイオミング州とサウスダコタ州の2州のみは、州法人税がまったく存在しない。しかしこの2州においては日系企業がビジネス拠点を置く話はあまり聞かない。一方、日系企業が多く集約する西海岸と東海岸沿いの州においては、州法人税率が高い傾向にある。よって、あらかじめ調査しておくべきである。日本から駐在員を派遣する予定であれば、現地のオフィス周辺や住環境を実際に訪問して調査すべきである。

B) 法人形態の選定

設立州をどこにするかとは別に、起業するには法人形態を選ぶ必要がある。法人形態には複数の選択肢がある中で、C-Corporation(株式会社)あるいはLLC(Limited Liability Corporation)のいずれかが選択される場合が多い。この2つの基本的な相違点は、税務上の取扱いである。C-Corporationは単体で課税されるが、LLCでは課税損益は構成メンバーにパススルー (path through) され課税される。しかし、結論から言うと、日本親会社が100%出資のアメリカ法人設立の場合、C-Corporationの形態が望ましいと言える。

C) 就労ビザの申請

アメリカでは特に難しく時間がかかると言われているのは、就労ビザ取得手続である。そのときの移民政策や移民担当官によって申請プロセスは変わってくる。この遅れが原因でアメリカ進出計画も失速してしまうケースもある。一般的に日本企業に利用されている就労ビザは、L-1ビザ(企業内転勤者ビザ)、E-1ビザ(貿易駐在員ビザ)、E-2ビザ(投資駐在員ビザ)、H-1Bビザ(専門職ビザ)である。それぞれに規定や特色がある。特にアメリカでは活動ヒストリーのない新設企業は、移民弁護士とともに戦略を練り時間をかけて作成を立てることを勧める。

D) 日米間の協定や条約の理解

日本とアメリカとの間では、両国間の企業活動と人的交流を円滑にするため、二国間協定や条約が存在する。日米双方向における企業駐在員に対する二重課税を避けるため「日米社会保障協定」が存在する。更に、主として個人所得税や法人税の二重課税を防止する目的で「日米租税条約」も存在する。因みに、日本企業がアメリカにおいて課税原因となる恒久的施設(Permanent Establishment)についても当該条約のなかでは定義されている。

4. まとめ

アメリカは魅力的な投資市場であるとは言え完全ではない。マクロ経済的に観ると、アメリカ連邦政府は、貿易収支と財政収支のダブル赤字状態である「双子の赤字(Twin Deficits)」に長年悩んでいる。それでもアメリカはデフォルト危機に陥らないのは、米ドルが世界の決済通貨のとして広く浸透して認められている事実にほかならない。皮肉にも、現在のドル高円安は、ドルの強さを証明してくれている。たしかに、アメリカは人種差別や所得格差の問題が表面化しやすい社会構造を抱えている。これら要点を押さえ、アメリカ進出で成功を目指すことは、日本企業の利益及び日本の国益にも資するものと考える。

<本ニュースレターは、米国における一般的な動向や情報をご案内する目的で配信している。具体的なご質問やアドバイス等は専門家に直接ご相談下さい。>

(参考)

US Bureau of Economic Analysis Direct Investment by Country and Industry, June 2023

日経新聞記事 米雇用支える「最大投資家」日本 州と連携重要に 2024年5月

日経新聞記事 ワルツ氏「日本は最良のパートナー」「中国の投資お断り」 2024年8月

ジェトロ海外ニュース 2022年の米対内直接投資額は4.3%増、日本が4年連続で国別首位を維持 2023年7月

NHK Web どうなる?日本製鉄の巨額買収計画アメリカ政治に翻弄 2024年9月

ロイター記事 コラム:ドル円の潮目は変わったのか、見逃せない米経済の変調=尾河眞樹氏 2023年12月

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